神棚について
なぜ神棚を祀るのか?
日本人は太古より自然を神として大切にしてきました。山・川・海・森・石・人・動植物にいたるまで、天地人全ての物に神霊がやどり、その調和の中に平和な暮らしが存在すると信じてきたのです。それ故、家の中でも要所々々に、竈(かまど)には竈神(こうじん)《荒神》、井戸には井戸神、納戸(なんど)には納戸神、厠(かわや)《お手洗い》には厠神というように多様な神々をおまつりしてきました。更に家庭の中心として国の総氏神(そううじがみ)様の天照皇大御神様(あまてらすすめおおみかみ)・地域の守護神として氏神様を神棚におまつりし、国の繁栄や家の安全を祈ってきました。
日本人の信仰の大本は、自然から生まれた神、神の御分霊(わけみたま)としての祖先、祖先から生まれた自分。自然→神→祖先→人と、自然と一体になった自然観であり、先祖と子孫をつなぐ自分、過去と未来をつなぐ現在を考える人間観・歴史観でもあります。
家庭に神棚をおまつりするということには、大きく分けて五つの意味があると思います。
一、人間は自然の一部であることを自覚し、謙虚な心を養う。
二、神様に守護され生かされていることを感じ、感謝の気持ちを忘れない。
三、祖先から受け継がれた精神と教訓を忘れず、日々己を戒める。
四、祈る親の背中を見て子は育つ。
五、人の目はごまかせても神様の目はごまかせないという、子供の情操教育。
人は日々の生活に流され易いものです。神棚はそんな家庭の日常に、敬虔の空間を創ります。神棚に祈念することで、心穏やかな精神を見出し、家内安全・子孫繁栄等の御神徳に触れていただきたいと存じます。
もちろん信教は自由ですが、日本人らしく御神札をまつって神様に「感謝」し「家庭の平安」を祈る、いのち若やぐ伝統の正月をする自由と、御神札を拒否して節約に励む自由と、どちらが人生にとって価値が高いでしょうか。
御神札・神棚の信仰は日本人らしさを形成する中核的心情です。活眼を開いて日本の伝統に参入してください。
神棚をまつる場所は?
一、神棚の向きは南向きか東向き
二、明るくて清浄な場所
三、見上げる程度の高さに
四、仏壇と同じ部屋に祀る場合は、神棚と仏壇が向かい合わせにならないようにおまつりします。(おまいりするときにお尻を向けないようにするため)
五、神棚の下を人が通る(潜る)ことのないようにします
六、神棚の上に2階がある場合は、神棚を踏むことになりますので『雲』『天』等と書かれた紙等を神棚の真上に貼って下さい。(神社でも「雲」の紙をおわけしております)
神棚の御神札とは?
従って天照皇大神宮(伊勢の神宮)の御神札が中央(全国共通)、氏神様(住んでいる地域の神様)が向かって右、その他の神様を左に奉安いたします。住んでいる地域の神様が旭川神社であれば向かって右側におまつりします。
一社づくりの場合は一番前が天照皇大神宮、その後ろに氏神様、その後ろにその他の神様を重ねて奉安いたします。
年末 なぜ御神札を新しくするのか?
神棚をお参りする作法は?
神社をおまいりする作法と一緒です。二礼、二拍手、一礼の作法でおまいり下さい。
神棚のお供えは?
家族に不幸があった場合は?
忌明(いみあけ・神葬五十日、仏葬四十九日)の後、心身を清めてから半紙を外して再び毎日のおまつりをするように致します。
家が一年 の間喪中であっても、五十日が過ぎたら神葬・仏葬にかかわらず新年の神札をお受けすることができます。
但し、外に対しては一年間は喪家(喪中の家)である訳ですから、年賀状と同じく門口の正月飾りは遠慮致します。
神棚まつりは忌中と喪中の違いは? またその期間は?
忌中(きちゅう)の「忌」とは、死を畏れ忌みはばかるという意味で、死のケガレのある間は派手なことを控えて身を慎み、その死を悼み、御霊【みたま】なごめに気持ちを集中するための避けられない期間のことで、最も長くて五十日間です。「忌明け」とは 「忌中」 の期間を終えたことをいいます。
また喪中(もちゅう)とは、忌明けの後も身を慎み、悲しみの気持ちを乗り越え平常心に立ち返ろうとする期間。
昨今この忌中と喪中が認識が混乱していて、特に神棚まつりについては誤解されているように見られます。
神棚に新しい御神札をおまつりしたり、神社参拝ができないのは服忌の期間だけです。喪中に関わりなくおまつりして頂けます。服忌の期間は以下の通りとなっております。
■服忌の期間
@父母・夫・妻・子については50日
A祖父母・孫・兄弟姉妹については30日
B曾祖父母・曾孫(ひまご)・甥・姪・伯叔父母(おじおば)については10日
Cその他の親族は3日
D配偶者の親族は前項を一項ずつ繰り下げた日数による。(前項Cは服さない)
以上の期間が過ぎれば、神棚にお供えしおまいりできます(喪中の期間は気にしないで下さい)
参考 北海道神社庁ホームページ